I DON'T KNOW BUT I'VE BEEN TOLD...

二日酔いと謎のバルーンのせい（？）でアタマがぐらぐらしてるのだが、今夜も明日も酒のにおいがぷんぷんとしているので、昼間のうちに本読みリストをすまさねば。。。
と思ったらすでに夕方じゃん？！

で、この状態では効率悪くて仕方ないんで、DVDみることにしました。
といっても、文化研究とテキスト分析の講義からいただいた（いらねぇ）レポートのためなので、まあいいかー←言い訳くさい。
自分で好きな映画を選べるのだけが唯一の救いなので、愛するフルメタル・ジャケットをチョイス。だって好きなんだもんジョーカー。

この映画は前半後半の雰囲気の違いっぷりが特筆だけれども、「どっちが好き？」とか「印象的だった？」というと、やっぱり前半というひとが多いのですね。そりゃそうだよなあ。鬼軍曹バンザイ。奴のキャラは濃すぎる。そしてプライベート・パイル（邦訳だとどうなってんですか？）のニヤリと笑うとことか、もう脳裏にはりついて離れない。

でも一番好きなシーンは、やっぱり後半、ジョーカーがヘルメットの'BORN TO KILL' と’ピースマーク’という矛盾した要素を身につけてるのを詰問されて「DUALITY」と答えるとこですね。

DUALITY、二面性、対立性。矛盾するものや、納得の出来ないことを抱えつづけること。これは二元論の反対に位置するでしょうか。命令への瞬間的な反応を求められる兵士がいちいちそれについて悩んでたら作戦にならないので、DUALITYを持ち続けているジョーカーは単純に「使い物にならない」兵士。
wouldbeさんのブログで書かれているとおり、兵隊としては見事な中途半端野郎なわけですが、フルメタルジャケットを観ていていつも思うのが、その中途半端さが極限状態じゃない日常生活でいかに大事か、ということなんですが。

ジョーカーが最後にミッキーマウスマーチに（きっと）交ざっていったように、戦争のような極限状態で人間の心理が単純化されていくことは避け難い、かもしれない。それはとても怖いけど。
でも、いろんなことを考える余地のある、すくなくとも物理的には比較的平和な生活で、その二面性を抱えながら、ものすごいシンプルな例を出せば’GOOD AND EVILはその両方のサイドからみたものが存在する’みたいなことを継続的に意識しつづけるだけの精神的キャパシティを持たないとあかんね、と思うのですよ。考えを固定することなく。

最封的にジョーカーの守り続けてきた不安定な'DUALITY'が固定されてしまう瞬間、それは彼がベトナム人レジスタンスの女の子を撃った時。何かをあきらめてしまった瞬間にもみえる。
（個人的な解釈だけれど）それは単純にカウボーイの復讐という動機だけじゃなくて、人間の本質そのものに絶望したから、とも思えた。

自分が体験してきたような究極のトレーニングを経てきたからこそ人工的に「養成」できると信じていた非情の殺人マシーン兵士が、一見普通の１０代の女の子だった・・・という事実に打ちのめされた部分もあるのではないかと。どうしようもないへたれだったジェリードーナツ野郎が、訓練をやりおおせたものの最後は狂って終わったように、それだけの究極の製造過程を経て生産されなければならない一流の兵士が持ちうるべき狂気。

けれど明らかに同じような訓練なんか受けていない民間人が「自然に」その狂気を持ちあわせていたのですね。バカにされても二面性を保ち続けることが、自分を'狂わされていない人間'という存在に繋ぎ止める彼なりの抵抗だったけれど、ベトナム人少女を撃った時には既に「なんだ、この狂気が人間の本質だというなら、それに対して抵抗する意味がどこにあるんだ？」という諦念に対して降伏してしまっていた。

もうこのジョーカーの心理変化を裏付けるためだけに、コメディのように強烈な前半があるんだといっても過言じゃないですね。
ああ人間、怖い怖い。

・・・というかんじで、めちゃくちゃ個人的解釈ながらも、いつもフルメタルジャケットに感動させられております。もう何回みたことか。
ただ、今回の課題は「構造主義とポスト構造主義の視点から物語の構成について分析せよ」なので、内容の意味についての解釈はほぼ書けないだろうというのがイタイところです。ひえーん。BARTHEなんて読みづらすぎて嫌いだー！！